2009年8月28日金曜日

大搾取 感想

「大搾取」 スティーブン・グリーンハウス

 アメリカにおける労働者が、労働時間のタイムカードを操作されて賃金を削られる、不当な契約を強制される、あの手この手で賃金を搾取される、労働組合等の活動を妨害される、労災を無視される、そのような数々の事例を紹介しながら労働問題を考える一冊です。

 本書は誰のために書かれた本なのか?税込み 2200円のハードカバーであれば、一番読んでほしい労働者階級がホイホイと手軽に買う値段ではない。お上のために書かれた啓蒙書である。そういう意味では、是非、図書館に置いてほしいと思った。

 アメリカで起こっている事は、だいたい遅れて日本にも流行する。秋葉の無差別殺人事件など、搾取されている派遣労働者の実態は、日本にも当てはまる。派遣労働者は、労働力調整というリスクを企業に代わって負っているのだから、賃金も安く、こき使われる筋合いのものでは無いと思うのだ。

 企業は業績が悪いときにはコスト削減で賃金の引き下げに走るが、業績が回復しても率先して労働者の賃金を上げるような事はしない。CIO,CEOの高額報酬は目に余るものがあり、不当な格差社会を引き起こしている。この状況を打破するために、企業の利益(役員報酬や株主報酬などが含まれる)から労働者の賃金に回さなければならない比率を法律に定めるというのは、どうであろうか?

 (医療問題については、また別の機会に書く)
 

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