2009年5月12日火曜日

「りんごが教えてくれたこと」感想

 「りんごが教えてくれたこと」を読みました。札幌弘栄堂書店に山積みされており、手に取って読んでみたら面白そうなので、読んでない本が大量にあるにも関わらず買ってしまいました(^^;。
  • 第1章 木村やっと花が咲いだよ
  • 第2章 農薬はつらい - 無農薬・無肥料への一念発起
  • 第3章 死を覚悟して見つけたこと
  • 第4章 米の自然栽培は難しくない
  • 第5章 全国・世界へと広がる輪
  • 第6章 すべて観察からはじまる
 NHKの番組、プロフェッショナル-仕事の流儀に出演された木村秋則さんが、農業と食のあり方について、広く伝道しようというコンセプトで書かれた本です。このような農業の発展には、消費者の理解が大切であり、また、現在の農薬と肥料漬けの農業への警鐘を鳴らすためでもあると思います。

 私の父も引退してからは、山の畑を借りて、無農薬で八朔を作っています。父は化学の研究者だったので、成分の用い方等に、やたら詳しくて、そのうちのひとつに、害虫を退治するのに石鹸水を使うというものがありました。何でも親水基と新油基がある石鹸は、虫の体に貼りついて虫を窒息死させるのだそうです。そして、こんな事は誰も知らないだろうと言っておりましたが、本書には、その事例が出てきます。これひとつとっても著者は凄いと思います。

 本書に書かれている栽培方法(無肥料・無農薬)で栽培した米を放置すると、酢が出来ますが、有機栽培で栽培したものや農薬+肥料で栽培したものは、腐って悪臭を放つそうです。キュウリで実験した写真が載っていました。食とは、人に良いものであり、農家は人に良いものを作るという事をもっと真剣に考えて欲しいという願いが伝わります。

 アメリカのトウモロコシ畑は、窒素が足りなくてひび割れ、一方の日本は窒素を輸入して変な匂いのする野菜を作っている事態(本書には出ません)は、異常だと感じていましたが、本書の農業のあり方は的を得ていると思います。

 無肥料でも土地を肥やすため奥義
  1. 大豆を植えて土地を肥やす
  2. 麦を植えて、土地を耕す
  3. 雑草を刈らず、温度管理をする
などが、散りばめられており、家庭菜園をする方、新しい農業を切り開こうとする若い世代の農家の方は、本書を読むと世界が広がるのではないでしょうか?

 虫については、本書に書いてない事がいろいろあります。例えば、私の父が植えたミカンが1年もせずに枯れてしまったそうなのですが、その原因は、カミキリ虫がミカンの木の根元に卵を産み食い散らかすのだそうで、地方によって状況は異なる事と思います。さすがに、このような事までは触れようがありませんが、本書全般を通じて、ファーブルも驚嘆するような虫の生態も語られています。

 久しぶりに、面白い本にあたりました。皆さんも是非読んでみてください。

追記:ちょっと早いですが、父の日のプレゼントという事で、私の父と、嫁の父の双方に(双方ともに畑をやっている)送りました。アマゾンで送料無料は1500円からなので、「ハチはなぜ大量死したのか」をチョイスしました。

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