2009年3月1日日曜日

グローバル・エコノミーと世界不況への対応というセミナーを受けた

 先日の金曜日は、北海道大学、佐々木 隆生 先生の「グローバル・エコノミーと世界不況への対応」というセミナーを受けました。その中で印象に残った事を…。

 バブルの典型的なパターンでは、ほとんど物価上昇していないのに資産価値は上昇するという(或いは、上昇度合いの釣り合いが不均衡)奇妙な現象が起こるそうです。これの説明を「生産性が向上したために資産価値が上がった」とする経済学があるそうで、経済学のわからない私などは、この説明を聞いて、なるほどーと納得してしまったのですが、これは、ナンセンスだという事でした。
 金利政策においては、物価上昇だけを考慮して金利を決定するのではなく、資産価値の上昇も考慮して金利を決定すべきであるというもので、ピンと来なかったので質問しました。簡単に言えば

資産がもたらす収入/利子=資産価格

なので、金利を上げると資産価格が下落します。この感覚でいけば、アメリカ・グリーンスパーンさんの取った金利政策は間違っていて、資産価格が大幅に上昇している時に物価だけを見て金利を下げたり、逆に資産価格が下落している時に金利を上げたりしたので、バブルの発生と崩壊を助長してしまったという事です。もちろん、物価の上昇を見て金利が決定されていたわけなので、全くダメという話ではなく、これからの金利の決定には資産価格も参考にすべきであるという話です。

 今までのアメリカ(1983年のレーガノミックス以降)は、最後はバブルにより消費を煽る経済活動だったのが、この破綻により、こういう循環はもう当面戻らないであろうという事で、こうなると、一番影響を受けるのが耐久消費財、すなわち、自動車等になります。

 今後の課題として、
  1. グローバル・エコノミーへの適切な国際公共財の供給システム。G8と言わず国際的機関(世界政府的)による協調の構築
  2. 知識基盤社会とイノベーションを背景とする所得配分の不均衡への対処。高所得者層と低所得者層への乖離の解消(中間所得者層の仕事が減っており、乖離の度合いが第1次世界大戦前に逆戻りしている現状がある)
  3. 財政膨張の基盤の上での財政マクロ調整機能の再建。小さな政府と言いながら、第一次世界大戦等の戦時中のような政府活動が一般化しており、このような異常を脱却しなければならない。また、必要な活動に対しては税金のあり方などを考え直さなければならない(必要なものは取る)。鏡の国(貧乏な中国が金持ちのアメリカへ出資する奇妙な構造)の解消
  4. サステナビリティの実現。破綻しない経済活動(消費を無理に煽ってもダメ、地球温暖化にも考慮)
が、あげられていました。

 注意:これらの内容は、私というフィルタを通して加工されています。

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